見出し画像

【最終回】~立科町のリンゴに惚れた男~ 移住、研修、収穫までのドキュメント vol.12

みなさんこんにちは!
この連載では、立科町に移住しリンゴ畑を借りた
地域おこし協力隊の1年間をリアルタイムで発信していきます。vol.11はこちら

東京のマルシェは凄かった!

 剪定に始まり、摘花、摘果、葉摘み、そして収穫。リンゴ農家の最後の仕上げはもちろん販売です。
 すでに地元の農産物直売所で販売はしていますが、さらなる挑戦は大都市圏のマルシェ出店です。12月10、11日の2日間、東京・青山の「ファーマーズマーケット@UNU」に立科町のリンゴ農家として初めて参加しました。
 当初は昨年に新規就農し、このnoteの座談会でもご一緒した「ヒーリングりんご農園岩波」の岩波亨さんも参加予定でしたが、諸事情で行けなくなったのでリンゴだけお預かりして、協力隊同期の芳賀隊員と2人です。大阪出身の私には不安な東京も、行く前から不安より期待が上回っていたように思います。

立科町のリンゴ農家として初めてヒーリングりんご農園岩波さんと一緒に「ファーマーズマーケット@UNU」参加しました

 結論から言うと、「本当に参加してよかった」というのが偽らざる感想です。売り上げもありますが、今回の最大の目的は「立科町の美味しいリンゴを知ってほしい」ということ。その観点だけでも学ぶことの多い、素晴らしい経験ができたと思います。

 たとえば、立科町では規格外になってしまう「小玉サイズ」や傷やサビのある「訳アリ」が、東京では「小さくて食べやすい」「すぐにここで食べたいから」「味に変わりがないなら」と次々に売れていきます。これまた地元なら敬遠されがちな規格外の「超大玉」も「値段が同じならお得」「すごい大きさ!」と買っていかれる方がたくさんいました。やってみないと、分からんもんです。最もうれしかったのは、試食された方が目の前で「美味しい。買って帰ります」と言ってくださること。自分で顧客を抱えていたりしない限り、生産者が消費者の率直な声を聴く機会はほとんどないでしょう。               実は土曜日に買っていただき、「美味しくて知人にも食べさせたいので、また来ました」と翌日も足を運んでくださった方もいました。まさに生産者冥利につきます。これだけでも「参加した価値があったなあ」と胸が熱くなりました。

品種は「サンふじ」

多くの協力に感謝!

 2人で参加したマルシェも、多くの皆さんの協力なくしてうまくいかなかったのは間違いありません。
 昨年研修しただけの拙い“農家見習い”。初めて畑を持った今年も研修先の方からアドバイスをいただき、今期は防除や施設の一部使用など快く協力していただいてきました。
 立科町役場の若い職員も出店に際しての面倒な手続きや準備をしてくれ、別の職員もわざわざ手弁当で東京まで手伝いに来てくれました。この場を借りて感謝を伝えたいと思います。
 同じ協力隊で建築家の永田隊員、秋山隊員は、店舗レイアウトやポップ作成、細かなアドバイスなどオジサンだけでは到底、思いつかないアイデアで支援してくれました。
 また今回は、長野県の「おためしナガノ」というテレワーク推進事業で立科町に滞在しているデザイナー、小嶋音色さんに素晴らしいロゴステッカーと、美味しさを伝えるペーパーを作成してもらいました。「関係人口を増やす」という施策にも、「少しは貢献できたんちゃうかな?」と勝手に考えています。

小嶋音色さんデザインのロゴステッカー

やってみるべき!

 もちろん、すべてが順調なわけではありませんでした。本当のところを言えば、出店のギリギリまで収穫が終わらずドタバタ。スケジュールをしっかり立てないといけないし、それ以前に「もっと質の高いリンゴを作らなアカン」とも実感しました。
 「どのくらいリンゴを持ちこんだらいいのか?」「いくらで売ればいいのか?」など分からないことばかりで立科町を出発しましたが、初めて経験したことでいろいろ見えたものもあります。他店や他の生産者さんから、参考になる話もたくさん聞けました。「ファーマーズマーケット@UNU」の地域特性なのでしょうか、主催側もお客様も非常に意識が高く、販売に際してはビニール袋が禁止だったり、農薬の有無を聞かれることも多々あったし、外国人も多いので最低限の語学力が必要だったり…。
 前述の通り消費者の声を生で聴くことができるし、違う世界を見られるので、多くの生産者にも体験してほしいと感じます。

「ファーマーズマーケット@UNU」の様子

またその先へ

 あっという間の2日間でした。会場近くの表参道ではイルミネーションがまばゆい光を放っていました。帰り際、オジサン2人で大渋滞に車を進め「ホンマ、きれいやな。さすが東京や」とスマホのシャッターを押しまくってオノボリさん丸出し。立科町に帰り着いても、しばらくは原宿の喧騒とネオンが頭の中をチラチラしていました。
 リンゴ農家になりたい…。そんな思いで立科町の地域おこし協力隊として赴任し約1年半。農家としてはまだまだ未熟やけど、自分の畑を持った1年目が終わろうとしています。そうこうするうち、すぐに新しいシーズンです。今年の反省を生かして、さらにその先へ!

これまで読んでいただいて、ありがとうございました。
   また何かの機会で発信していきたいと思います。      
おおきに!


※そういえば…わたしの販売サイト「アルデリンゴ」(http://aruderingo.theshop.jp)を開設しました。
何語かって? 大阪弁の「あるで、リンゴ」です。よかったら見てってや~ 

アルデリンゴ



みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!