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~立科町のリンゴに惚れた男~ 移住、研修、収穫までのドキュメント vol.7

みなさんこんにちは!
この連載では、立科町に移住しリンゴ畑を借りた
地域おこし協力隊の1年間をリアルタイムで発信していきます。vol.6はこちら

大胆になってきた

 夏の盛りを迎えリンゴは順調に育ってきました。大きな実をつけるため不必要な実を落とす「摘果」という作業は、育った姿を想像することが必須です。去年の研修中の“イメトレ”です。
 とはいえ、どうしても残したくなるのが人情。何しろ、一度落としてしまえばもとには戻らないわけですから。

  しかし、徐々に実が大きくなってくると、いろいろ見えてきます。「あれじゃ収穫前にぶつかり合って傷になるんちゃうかな」とか「落とし忘れてるやないか」なんて。
 あれほど抵抗感があったのに、いつしか気持ちも大胆になってきて実を落とすのにためらいが薄まってきました。おそらく、リンゴらしくなってきからじゃないかと自分では考えています。

リンゴらしくなってきた

人の振り見て…

 大きな法人や組合でない限り、農家は個人事業主です。同じ作物なら、忙しい時期も同じ。だから、別の方のリンゴ畑を見る機会というのが意外に少ないのです。
 去年は研修で、今年は自分の畑をもって1年目。剪定に始まり、どうにか実がついて育っているとはいえ、「みんなはもっと大きいんと違うか?」とちょっと不安になったりすることもあります。そこで、ある先輩の畑を見に行ってみました。
 先日、同じ地域おこし協力隊員が移住希望者の方を先輩就農者の岩波亨さんのリンゴ畑にご案内するというので、私も帯同しました。
 岩波さんも東京からの移住者で、農業大学校と里親前研修という制度を経て、今年が畑を持たれて2年目です。実は昨年も収穫を手伝ったり、器具の貸し借りもする間柄。年齢も1歳違いと近いので、気心の知れた関係といっていいかもしれません。
人の振り見て我が振り直せ…というわけではありませんが、別の畑のリンゴをじっくり見るのは新鮮です。

リンゴを見比べ、冗談を言い合うのも大切な機会

「どう?俺の畑みたら自信なくなったんじゃないの?」
「そうですね、まあまあの出来とちゃいますか!」
なんて冗談を言い合いながら、少し畑を見せてもらいました。
 岩波さんの畑は「自然樹」といって、大きく木を茂らせて栽培する手法。一方、私の畑は作業性を高めるため列状に配置した「矮化」という栽培方法です。しかし、わたしの畑は同じ矮化でもかなり育ってしまって、自然樹並みの大きさの木もあります。そうなると、陽当たりの悪い場所ができてしまっているところもあり、岩波さんの畑を見ながら「もう少し枝を落としたほうがええんかな?」などと、手直しするイメージをわかせることができました。  

大きくなるリンゴをイメージ中

 先輩であり、仲間であり、ライバル(?)。同じ移住者でリンゴを育て、悩みや疑問、ときに不安や喜びも分かち合える人がいるというのは、ちょっと大げさですが、とても励みになるし、支えにもなります。収穫のときも、お互いにリンゴの出来を見せ合って自分たちが成長していけたらと思います。 

 さて自分の畑に帰ってみるとリンゴだけでなく、プルーンが少しずつ紫に色づきはじめ、ブドウの房も大きくなってきました。ただ、雑草も驚く速さでグングン育っています。はぁ…あと何回草刈りせないかんのかな。                                  

色づき始めたプルーン