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~立科町のリンゴに惚れた男~ 移住、研修、収穫までのドキュメント vol.6

みなさんこんにちは!
この連載では、立科町に移住しリンゴ畑を借りた
地域おこし協力隊の1年間をリアルタイムで発信していきます。vol.5はこちら

ひとまずヤマ場は乗り越えた!

 「何とか間に合った。我ながら頑張ったやないか!」
こんなことで、いちいち達成感を味わっていてはいけないのかもしれません。それでもリンゴ農家になってから最大のヤマ場(大げさな…)を乗り越えた感慨はひとしおでした。 

 梅雨入りしたとはいうものの、ジリジリと照りつける陽射しは容赦ない。ゴールデンウィーク明けから開始した摘果(栄養を集中させるため余計なリンゴの実を落とす)作業は、6月に入ってもなかなか遅々として進まない印象でした。
確か、剪定を終えたばかりのころは「どれだけ実が成るんやろ?」と心配していたはず。ところが、春を迎え、花が咲き、葉が生い茂ると、今度は「一体、どれだけ実がついとるのかな?」とちょっと怖気づいたり。
なんとも勝手なものです。

ぶどうじゃないよリンゴだよ

「いつかは終わる」と自分に言い聞かせて

 摘果作業は一つひとつ実をハサミで落としていかなければならない地道な作業。若い人ならいざしらず、五十代も半ばを過ぎると、立ちっぱなしの日々は本当に体に堪えます。
 6月中には終えないといけないので、休みも満足に取れないのが、この時期のリンゴ農家の宿命です。多くの人を雇ったり、熟練の方なら慣れたものかもしれませんが、なにせ昨年初めて研修したばかりですから、必死です。
「やらな終わらん。やれば必ずいつかは終わる…」
 毎日、畑に出るたびに呪文のように自分自身に言い聞かせてきました。

 リンゴ畑には大きく分けて、広い敷地に木を植えた「普通樹」と作業性を考えてコンパクトにした「矮化」があります。私のお借りしている畑は矮化なのですが、かなり立派な木に育っていて、そう簡単にはいきません。脚立をいれ、高所作業車を使っても、なかなか手が届かないところがあります。暑さでくらくらするし、無理な姿勢を取らざるを得ないから、背中や脚は筋肉痛、腰も張ってくるのは仕方ありません。
 なるべく先を考えず、1列、また1列とひたすら摘果。足元にも高所作業車の上にも、まるで大ぶりの梅ような実がゴロゴロと転がっていました。
 やっても、やっても終わらないと思っていましたが、それでも人間は不思議なもので、ゴールが見えてくると元気が出てくるものです。6月22日、摘果を開始してから約1カ月半をかけ、ようやく最後の一本が終了。ホッとしていると、タイミングよく心地よい雨粒が落ちてきました。

梅じゃないよリンゴだよ


収穫が楽しみなってきた

 以前も書いたように、初めて立科町に来た昨年は遅霜の影響で小玉が多いなど不作でした。それが、今年はすでにピンポン玉にまで育った実がたくさんあります。作業が大変だった分、今から収穫が楽しみなってきました。

リンゴだよ


 ちょっとばかり充足感にひたっていましたが、まだまだリンゴ作りが終わったわけではありません。もちろん見逃しているものもあるわけで「見直し摘果」も、美味しく立派なリンゴのため適正な個数にする「仕上げ摘果」もあります。さらに多くの枝を剪定したため養分がまわってどんどん新しい枝も生えてきているので、リンゴに陽を当てるために「夏季剪定」もやらなきゃいけないし…。

つかの間の休息を終えたら、また畑に向かう新人農家です。

かえるさんも休憩中