~立科町のリンゴに惚れた男~ 移住、研修、収穫までのドキュメント vol.9
みなさんこんにちは!
この連載では、立科町に移住しリンゴ畑を借りた
地域おこし協力隊の1年間をリアルタイムで発信していきます。vol.8はこちら
祝! 初出荷
専用の端末で金額や枚数など必要な項目を打ち込み、ラベルをプリントアウト。「りんご(シナノドルチェ)」、「400円」、「バーコード」、そして「芳野昇」…自分の名前も書かれています。10月1日、私にとって記念すべき初出荷となりました!
主力品種のフジは11月が収穫期ですが、私の借りている畑に数本あるシナノドルチェは食べごろ。色づきのいいものを選び、大きさをそろえて詰めた全18袋を、すでに登録しておいた立科町の直売所にお願いしました。地元はもちろん、町外や観光客の方も立ち寄るところで、野菜などはいつも新鮮。時期になるとリンゴや野沢菜もたくさん売られています。 まずは本格的なシーズンの前の“予行演習”のつもりでしたが、いざ自分の作ったリンゴを店頭に出してみると「ちゃんと買ってもらえるやろか?」とドキドキします。
この直売所はバーコードで管理されているので、1日に2度メールで売れた個数を伝えてくれます。なんと、出荷当日に17袋が売れ、翌日には最後の1つも無事に買っていただけました。おおきに!
準備も着々と…
農家は作るだけではなく、やはり売らないと話になりません。正式に独り立ちすることを考えれば、まだまだやることはたくさんあります。先日、この連載を掲載している立科町公式のnoteのコンテンツのひとつとして、同じく移住してリンゴ農家となった先輩方との座談会に参加しました。いろいろとためになる話も多かったのですが、研修では学ぶ機会のなかった販売方法は実に参考になりました。
今回出した直売所のほか、「早く農協に連絡をしたほうがいい」とアドバイスをいただきました。また、自ら販売するためのECサイトも作成したので、フジの収穫が始まったらこちらでも公開する予定です。
昨年まではリンゴ作りだけを学んでいればよかったのですが、売るとなると必要なものが増えていきます。今回のようにリンゴを入れる袋、さらには段ボール箱、甘さを測る糖度計や蜜入りチェッカーなども手に入れる必要があります。これも将来のための初期投資ですね。
大事なお客様
前述の通りリンゴの多くは直売所、農協、自身のサイトからの直販が主なものになりそうですが、ほかにも大事なお客様がいます。
私の畑は以前の園主さんが「木のオーナー制度」をされていたので、引き継ぐことにしました。木を1本まるごと買い取っていただく方法で、約200本あるうち37本を契約していただきました。個人もいますが町内のペンションなど宿泊施設の契約も多く、これは収入確保につながります。こちらで管理し、収穫までする場合もあるでしょうし、宿泊客にリンゴ狩りを体験していただくケースもありそうです。
とにかく、どんな形であれ美味しいリンゴをしっかり作るのが使命と考えると、この先の作業にも力が入ります。
本格的な収穫に向けて
シナノドルチェはもう少し残っていますが、続いてはスイーツなどの加工用として人気の高い紅玉も出荷していく予定です。それが終わると、いよいよフジ。今はリンゴの実を赤くするため「葉摘み」の作業の真っ最中です。
葉に隠れた部分は色がつかないため、陽をあてるために文字通り葉を摘み取るのです。これもまた手のかかる細かい作業ですが、葉っぱを一定方向に「プチッ」と小気味いい音とともに折ると、なんだか梱包などに使うプチプチを割るような妙な心地よさがあります。とはいえ、収穫まであと1カ月は甘さを蓄える大事な時期。光合成するための葉も残しながらの作業なので、案外、神経を使うのです。
春の剪定から始まり、花摘み、摘果とやってきて、いよいよ収穫は間近。さあ、もうひと踏ん張りです。
つづく