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空き家DIY in 立科町2022 ワークショップ【第1回解体、第2回断熱】

 立科町では初となる「空き家DIYワークショップ」が行われています(12月2日まで計5回、8日間)。主催する地域おこし協力隊の永田賢一郎さん、秋山晃士さんは建築家。その資格と経験をフルに生かした改修作業にくわえ業者による工事を経て、かつて教職員住宅として使われていた家が来春には移住者向け住宅に生まれ変わる予定です。まずは第1回、第2回の模様をリポートします。

(立科町企画課 池田 知穂)

【第1回 解体ワークショップ】(9月30日、10月1日)

 初開催の第1日目は、まだ残暑の残る中で行われました。立科町に興味をお持ちの方、すでに移住していずれDIYで古民家改修を考えている方、地域活性をテーマにしている大学生、さらに他県の地域おこし協力隊など様々な参加者が顔を合わせました。
 永田隊員のあいさつで幕を開けた解体ワークショップ。畳をあげるところから始まり、余計な部材の取り外し、壁のクロスはがしなど、やることはたくさんあります。

DIYをおこなう教職員住宅

 日ごろ工具を手にする機会の少ない女性陣も大きなバールを持って釘を抜いたり、床板をはがしたり。一方クロスはがしもなかなかの大仕事で、30年以上も経過したクロスはしっかりと張り付いており男性陣も大汗をかきながらの作業でした。
 
 当初こそぎこちなかった皆さんも、それぞれ胸に名前を書き、同じ目的に向かって作業を協力することですぐに打ち解けていきました。埃っぽい現場ながら、老若男女(?)の笑い声が響き、いつしか互いに名前を呼びあう光景はこうしたイベントならではの楽しさを感じます。

 さて、第1回の“ハイライト”はクローゼットの壁抜き。
活躍したのは女性陣。バールで力いっぱい支柱をはがし、釘を抜き、徐々に壁を破る瞬間が近づいてきます。最後は「行きますよ~!」の掛け声で、居間とキッチンを隔てていた壁が取り払われると、歓声と拍手が起きました。

バールで解体作業中

 休憩時間には、リンゴ栽培に携わる地域おこし協力隊の芳野隊員が自慢のリンゴを差し入れ。甘くジューシーなシナノドルチェが皆さんののどを潤し、糖分補給に一役かってくれています。

もぐもぐタイム

 「今までやったことがなかったので、本当に楽しかったです」という女性参加者。いつかは自身の手で古民家改修を計画する男性も「参考になることばかりで、勉強になりました」と喜んでいただけたようです。

【第2回 断熱ワークショップ】(10月14、15日)

 一見すると「地味かな?」と思っていた作業も、始めてみるとこちらも大いに盛り上がりました。
 実は第1回の終了間際、断熱材を敷きこむ部屋の床板の様子を確認してみたところ、これが思った以上の難工事になりそう。根太(ねだ)という床を支える部分はしっかりしているのですが、そこに張られている床板が頑丈なうえ複雑にはめ込まれていたのです。
 そこで建築家2人が、事前に床はがしを決行。万全の態勢で参加者をお待ちしました。

はがされた床にスタイロフォームを敷き込みます

 最大の難関は、根太の間に張るスタイロフォームの敷き込みです。いわゆる断熱効果を高めるもので、寒冷地の立科町では床に50ミリの資材を敷きます。根太の間隔は「ほぼ均等」なのですが、これがくせもの。サイズを測る担当の参加者から切り出す担当に伝えるものの根太が微妙にゆがんでいたりして、うまく入らない。「あと2ミリ削ってください」、「今度はぴったりです」といったやり取りが繰り広げられます。全部に敷き終え、隙間をふさぐテープを貼ったらようやく完成です。
床板をはがさずに敷くチームは、防湿シートを張った上に根太を打ち込み、そこにスタイロをはめこんでいきます。

釘をつぶしてます

 この作業、1日目は悪戦苦闘でしたが、2日目は秋山隊員の発案でバッテリー式の電動丸ノコギリを活用。多少のゆがみをありましたが、きれいに寸断された資材は気持ちいいくらい、スポッとはまります。いつしか「床職人みたいだね」と称える声も。永田隊員は「皆さんの作業ペースがどんどん進化してこちらはやることがなくなりそう」と苦笑いです。

秋山隊員指導の下、電動丸ノコギリ使用中!

 電動ノコギリをはじめ、この回で活躍したのは電動工具です。素早くビスを打ち込むインパクトドライバー、床を切り出すのに重宝したマルチツールなど。初めて手にする方も多く、最初はおっかなびっくりでしたが、最後はまるで自分の道具のように扱えるようになりました。「電動ノコギリの切れ味が気持ちいいですね」「こうした道具が欲しくなってきました」と参加者。永田隊員は「建築をやっていると、つい色々な道具がほしくなるんですよ。非常に便利なものもあるので、DIYをやってみたい方はぜひ検討してみてください。工具の“沼”にはまってしまうかもしれませんよ」とDIYの楽しさが伝わったことに満足そうな表情をみせていました。

スタイロフォームの敷き込み完了!

 当初は壁にもスタイロを敷きこむ作業予定でしたが、時間の都合もあり断念。残りは建築家2人が準備を進め、次はいよいよ壁を塗る左官です。次回もまた、参加者の皆さんに楽しんでもらえるよう準備します。

見学は大歓迎です